いらないねこ

このことばを聞いたとき真っ先にじぶんのことを言われてるように感じた。

 

『いらない』

 

困ってる人を助けたい、力になりたいと思うようになったのはそれを通して本当は自分自身を助けていることに繋がっている。

 

いつも誰かの力なしに生きれない人を自分に投影してみている。

 

だから目の前にいる人は自分自身なのだ。

 

転んで起き上がれないのもお腹が空いてどうしようもないのも

いらないって捨てられることも全て自分自身を助けていることに繋がっている。

 

でもそれでもいい。

 

それでいい。

 

誰かが自分に優しくしてくれた時

 

その瞬間はサプライズのような気持ち。

 

待ち望んでないから嬉しい。

 

それを当たり前と思ってしまうような人間にも期待してしまうような人間にもなりたくないけど

 

甘えがダダ漏れになって溢れ出てしまう。

 

 

ねぇ自分はこんなに弱い人間だったっけ。

 

もう力が抜けて起き上がれない。

 

あぁ〜そうか、こんな弱い自分が本当で

 

いつもは意地だけで泥水啜って這いつくばって立ってるんだった。

 

そうやって生きてるんだった。

 

 

さみしいって感じるのは人から嫌われたからじゃない。

 

いらないって言われたからじゃない。

 

 

自分が自分を見捨てて自分を寂しくさせているからだ。

 

さみしいのは自分を信じれていないから。

 

さみしいのは自分を生きれてないから。

 

さみしいのは楽しくもないのに笑うから。

 

この世に生まれてきたいのちに思うこと。

 

いらないいのちなんて何一つないよ。

 

ひとりひとり、ひとつひとつ違う道をゆくけど

 

自分の歩んだ道を選んだ道を

 

恥ずかしいなんて思わないで

 

 

人に嫌われるより悲しいことは

 

自分を嫌いになること。

 

自分を信じられないこと。

 

人のことばかり考えしまうのは優しさに見せかけて

 

自分の泣き虫に気付きたくないだけ。

 

 

だいすきだよって

 

こんな私もだいすきだよって

 

今は思うけど

てんし

小さな小屋。

 
古いけど暖かみのある小屋。
 
小屋の左で飼っていた親牛が子牛にミルクを飲ませ、そのあとで私にミルクを飲んでくださいといった。
 
私はいいんですかといって親牛にもらったミルクを冷蔵庫に入れてヨーグルトにしたりバターにしたりした。
 
小屋の右側では馬を一頭。
 
ここでは雪や雨ばかりの天気だから晴れた草原の方へ行く時はその馬に乗ってそちらの方へいった。
 
だけど身体の上に乗るのはあまり好きじゃないから本当は横に並んで引いて歩くことが多かった。
 
晴れた草原に行った時は馬は自由に走り回った。
 
疲れたら抱き寄せて首をさすった。
 
雪の多い小屋で
 
トナカイを二匹飼った。
 
積もる道をトナカイにソリを引いてもらった。
 
春が来て草木が生い茂るようになったから
 
トナカイを手放した。
 
牛も馬も手放した。
 
少し前に小屋の中で飼い始めた柴犬は春の日に外で元気に走り回ったけど
 
最後にその子もばいばいした。
 
小屋にいるのは私とねこ。
 
随分静かになった。
 
春になって蝶々が飛んできたり小鳥が遊びにきてチュンチュン鳴いたり
 
バッタが飛んだり外には生き物が沢山いたからそれでも寂しくなかった。
 
ある日春なのに雪が降った。
 
急に空を飛びたくなって天使の羽を生やした私は
 
遠く地球の端の雪国へいった。
 
オーロラに包まれてなだらかに飛んだ。
 
オーロラと一体化して飛ぶ私はとても気持ちいい。
 
雪がシンシンと降ってスンと下へ降り立つと一匹のホッキョクグマがいるのが見えた。
 
近づくと歯を剥き出しにして威嚇した。
 
お腹が空いていて弱っているようだった。
 
光の力でそのホッキョクグマを元気にした。
 
そして抱きしめてもう大丈夫だよといった。
 
頭を撫でたり首に手を回したり肉球に力を込めて握った。
 
白い蒸しパンをあげると不思議そうに食べた。
 
別れを告げ、もう一度オーロラに包まれて飛びながらもっと高くもっと高く星空を掴んでみたい。
 
手を伸ばして宇宙の彼方へ。
 
そして今度は下へ下へ海へと降り立つ。
 
深海では光を放って色んな生き物を見た。
 
あまりの暗さに怖くなってすぐに地上へ出た。
 
そして大きな鯨が海に浮かんで死んでいた。
 
光の力でなおそうとしたけど大きすぎて光が足りない。
 
そうこうしてるうちに自分の力が弱ってきて気付いたら気絶してしまっていた。
 
目を覚ますと小屋のベットの上へ引き戻っていた。
 
傷ついた私が虚に目を覚ますと愛猫が心配そうにこちらを覗き込んでいる。
 
テーブルにはココアの香りとけむり。
 
マキの音。
 
外はまだ雪がシンシンと降り積もっている。
 
ココアを一口飲んでまたベットに横たわると今度はお姉ちゃんがきていた。
 
私を抱きしめると涙を流していた。
 
そして私も泣いていた。
 
昔昔のことを思い出した。
 
愛のこと。
 
心が震えた出来事。
 
手の温もり。
 
表情。
 
愛そのもののこと。
 
泣きたくなったこと。
 
それは誰かわからない愛のこと。
 
生まれ変わったら鳥になりたい、
 
自由に空を飛び回りたい、
 
私は悲しげにそういった。
 
心が通じてハッとして胸が掴まれてぎゅっと苦しくなって
 
 
そこで記憶はおわった。
 
心の中に確かに愛はあるのだけれど
 
エゴが澄んだ心を濁らせる。
 
惑わせる。
 
何が正解かわからなくなる。
 
頬を伝う涙は澄んだものだけれど
 
床に落ちるとすぐに違うものに変わった。
 
ずっと綺麗なままでいられない。
 
変わらないでと願うのに
 
変わってゆくものに絶望に近く切なくなった。
 
生まれ変わったら鳥になりたい。
 
自由に空を飛び回る。
 
小さな小屋には誰もいれたくない。
 
私とねこ。
 
外の自然の生き物たち。
 
人は目でものをいう。
 
 眩しい眼差しに
 
心が奪われて
 
でも変わらないで
 
夢で終わらないで
 
 願ってはこころの中の奥のあいが今日も泣いている。